補助金申請で失敗しない5日間実務シリーズ|第3回
採択されたからといって、申請した経費がすべて補助されるわけではありません。補助金は実績報告の検査を経て金額が確定し、対象外と判断された支出は差し引かれます。今回は、対象経費、見積、発注、支払いで失敗しないための基本を解説します。
対象経費は3つの条件で確認する
- 経費区分に入る:機械装置費、広報費、システム構築費など、公募要領に記載された区分か
- 事業に必要:申請した取組を実施するために直接必要で、数量や仕様が適切か
- 期間と手順を守る:交付決定後に発注し、事業期間内に納品・支払いが完了するか
「仕事で使うから対象」では不十分です。補助事業だけに必要なのか、通常業務にも広く使える汎用品ではないか、価格が過大でないかまで確認されます。
対象外になりやすい支出
- 交付決定前に契約・発注・購入したもの
- 事業期間外に納品または支払いをしたもの
- 目的との関係が説明できない高額・過剰な仕様
- 日常的な消耗品、一般事務用品、通常の家賃や人件費
- 中古品、車両、パソコンなど、制度で制限される汎用品
- 現金払いなど、支払い経路を確認しにくい取引
- 自社、親族、関連会社との取引など、利益相反が疑われるもの
どこまで対象になるかは制度によって違います。たとえばパソコンが認められる枠もあれば、原則対象外の制度もあります。過去の補助金のルールを流用せず、今回の公募要領で確認してください。
見積書は「金額」より「比較できる内容」が重要
価格の妥当性を示すため、原則として複数社の相見積が求められる制度があります。同じ条件で比較できるよう、品名、型番、数量、単価、作業範囲、納期、有効期限、発行日、会社名をそろえます。「システム一式」のような見積では、何にいくらかかるのか説明できません。
特許、独自仕様、既存設備との連携などで一社しか対応できない場合は、業者選定理由書が必要になることがあります。「いつも頼んでいるから」ではなく、他社では実現できない技術的・合理的な理由を説明します。
証拠書類は取引の順番で保存する
実績報告では、見積、発注、契約、納品、請求、支払いを一連の取引として確認します。ファイル名に日付と取引先を入れ、経費ごとにフォルダーを分けると整理しやすくなります。
- 見積書・相見積書・選定理由書
- 発注書・契約書
- 納品書・検収書・作業完了報告
- 請求書
- 振込明細・通帳・カード利用明細
- 導入後の写真、画面、成果物
申請時の名称、見積書、請求書、振込先の名義が一致しているかも確認します。変更が必要になったときは、自己判断で進めず、発注前に事務局へ相談しましょう。
社内の発注ルールを先に決める
現場担当者が通常の購買と同じ感覚で先に注文すると、交付決定前発注になりかねません。補助事業専用の管理表を作り、経費名、予算額、交付決定日、発注可能日、納期、支払期限、証憑の保存先を記録します。「補助金担当者の承認が出るまで発注しない」という社内ルールを、購買担当と経理担当にも共有してください。
消費税の扱いにも注意が必要です。課税事業者か免税事業者か、税抜・税込のどちらで申請するかによって補助対象額が変わる場合があります。振込手数料、送料、保守料、クラウド利用料なども、本体に含められるかを経費区分ごとに確認しましょう。少額だから大丈夫と判断せず、迷う経費は申請前に事務局へ照会し、回答を記録しておくと安心です。
まとめ:採択より前から実績報告を意識する
経費管理の基本は、対象区分、必要性、期間、手順、証拠の5点です。申請時から実績報告用のフォルダーを作り、取引のたびに書類を保存すれば、報告直前の混乱を防げます。次回は、審査でプラスになる「加点」と、未達時のリスクもある「賃上げ要件」の違いを整理します。
5日間シリーズ
参考:ミラサポplus「補助金とは」、補助金入門 STEP3
※対象経費、相見積、支払方法のルールは制度ごとに異なります。

