補助金申請で失敗しない5日間実務シリーズ|第4回
補助金の公募要領には「加点」「特例」「基本要件」といった似た言葉が並びます。特に賃上げは、審査で有利になるだけの制度もあれば、補助上限の引上げ条件や、未達時の返還に関係する制度もあります。今回は、点数を増やすことより、守れる約束を選ぶための考え方を整理します。
まず「加点・特例・必須要件」を分ける
| 区分 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 加点 | 審査点にプラスされる | 採択を保証するものではない |
| 特例 | 補助率・上限額などが有利になる | 追加要件や証拠が必要 |
| 必須要件 | 満たさなければ申請・交付できない | 未達時の返還規定を確認 |
同じ賃上げでも扱いは制度によって違います。申請画面のチェック欄だけで判断せず、公募要領の本文、別紙、交付規程まで確認しましょう。
よくある加点項目
- 賃上げや最低賃金の引上げ
- パートナーシップ構築宣言
- 事業継続力強化計画
- 健康経営優良法人
- くるみん・えるぼし等の認定
- 事業承継、再生事業者、地域・政策課題への対応
すべての補助金に共通するわけではなく、対象公募回や取得期限も決まっています。申請締切時点で認定済みであること、専用サイトへの公表が完了していることなど、条件を細かく確認します。
取るべき加点を選ぶ3つの基準
1. 本業の方針と一致している
採択のためだけに認定や宣言を増やすのではなく、人材定着、防災、取引適正化など、自社が本来進めたい取組と一致するものを選びます。
2. 締切までに証明できる
申請、審査、公表に時間がかかる制度があります。「申請中」で加点になるとは限りません。必要な認定番号、PDF、掲載画面などを提出期限から逆算して準備します。
3. 達成と維持が現実的である
賃上げ目標は、対象従業員、基準時点、給与支給総額、最低賃金、計画年数を確認します。売上が計画より伸びなかった場合でも実行できるか、資金繰りへの影響まで試算しましょう。
賃上げ目標は台帳から逆算する
「3%上げる」と決める前に、直近の賃金台帳と労働者名簿を使い、誰が計算対象に含まれるかを確認します。基本給だけか、賞与や手当を含む給与支給総額か、基準となる事業年度はいつかで計算結果が変わります。
- 現在値と目標値を同じ定義で計算する
- 採用・退職・休職の影響を想定する
- 最低賃金改定後も要件を守れるか確認する
- 従業員への表明方法と期限を記録する
- 未達時の返還・減額規定を確認する
加点は事業計画の代わりにならない
加点項目を多く取っても、課題、顧客、実施体制、収益計画が曖昧なら採択は難しくなります。加点は「良い計画に上乗せするもの」です。まず審査項目に沿って事業計画を磨き、そのうえで無理なく取得できる加点を選びましょう。
加点・要件管理表を作る
加点候補ごとに、効果、取得条件、申請先、所要期間、証明書類、申請締切、取得後の義務を一覧にします。申請画面で選択する項目と、添付が必要なPDFや認定番号を分けておくと、付け忘れを防げます。取得済みの認定でも、有効期限や法人番号、会社名表記が申請内容と一致しているか確認してください。
賃上げについては、経営者、経理、人事、社会保険労務士などで計算条件を共有します。目標年度までの売上・粗利計画と人件費を並べ、通常ケースと売上が下振れしたケースの両方で支払えるかを試算します。採択可能性を上げるためだけに高い目標を置き、後から返還リスクを抱えるのは本末転倒です。
まとめ:採択後も守れる条件だけを選ぶ
加点、特例、必須要件は効果も責任も異なります。賃上げを含む目標は、台帳と資金計画を使って現実性を確かめ、未達時の扱いまで理解して申請してください。最終回は、採択後から交付決定、実績報告、入金までの流れを解説します。
5日間シリーズ
参考:ミラサポplus 賃上げ・最低賃金対応支援特設サイト、補助金入門 STEP3
※加点・賃上げ要件は制度・公募回ごとに異なります。

