補助金・助成金 基礎講座 #03
「ホームページ制作に使える?」「店舗改装は対象?」「どうすれば50万円より多く申請できる?」――小規模事業者持続化補助金は使い道が幅広い一方、経費区分や上限のルールを誤解しやすい補助金です。
第20回の一般型・通常枠は、2026年11月5日に申請受付が始まり、12月15日17時に締め切られる予定です。この記事では、2026年7月21日更新の公募要領第8版をもとに、対象者、使える経費、最大250万円になる特例、採択審査の加点、申請準備の注意点を分かりやすく整理します。
まず結論:補助額の上乗せと「加点」は別物
第20回では、通常枠の補助上限は50万円、補助率は原則2/3です。補助上限を増やす仕組みは「インボイス特例」と「賃金引上げ特例」で、両方の要件を満たすと上限は最大250万円になります。
一方の「加点」は、補助上限を直接増やすものではありません。審査で政策的に評価を上乗せし、採択の可能性を高めるための仕組みです。

| 区分 | 効果 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 補助上限50万円 | 補助率は原則2/3 |
| インボイス特例 | 上限を50万円上乗せ | 対象となる免税事業者等がインボイス登録 |
| 賃金引上げ特例 | 上限を150万円上乗せ | 1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加 |
| 加点 | 採択審査でプラス評価 | 重点政策加点と政策加点から各1種類、合計2種類まで |
小規模事業者持続化補助金は何のための制度?
小規模事業者等が、自ら作成した経営計画に基づいて行う販路開拓や、その取組と併せて行う業務効率化を支援する制度です。「古くなった設備を交換したい」「パソコンを買いたい」というだけでは足りず、新規顧客の獲得や売上・売上総利益の増加につながる計画が必要です。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員5人以下
- 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員20人以下
会社、個人事業主、一定要件を満たす特定非営利活動法人などが対象になり得ます。申請時点で事業を開始していない創業予定者や、医療法人、一般社団法人などは対象外です。
第20回で使える8つの経費
対象経費は、経営計画と補助事業計画に必要なものとして説明でき、交付決定後に発注・契約し、補助事業期間内に支払いを完了したものに限られます。

1. 機械装置等費
新サービス用の製造・試作機械、集客力向上のためのショーケース、高齢者向け椅子、業務用オーブンなど、販路開拓に必要な機械・設備が対象です。パソコン、タブレット、一般事務用プリンター、スマートフォン、家庭用電化製品などは原則対象外です。
2. 広報費
チラシ、カタログ、ポスター、看板、新聞・雑誌広告、インターネット広告、SNS広告、プレスリリース配信などが対象です。広報費だけでの申請はできず、補助金交付申請額の上限は30万円です。
3. ウェブサイト関連費
商品販売サイト、ECサイト、予約システム、顧客管理システム、販路開拓に必要なソフトウェア、サイトに掲載する写真・動画、内容が具体的なSEO対策などが対象です。この経費だけでの申請はできず、補助金交付申請額の上限は30万円です。
4. 展示会等出展費
国内外の展示会・商談会の出展料、オンライン展示会への参加費、展示品の運搬費、通訳・翻訳料などが対象です。
5. 旅費
展示会や商談会など、補助事業計画に明記した販路開拓のための交通費・宿泊費が対象です。日当、ガソリン代、駐車場代、タクシー代、単なる営業や視察の旅費は対象外です。
6. 新商品開発費
新商品の試作品やパッケージの試作に必要な原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工費などが対象です。販売する完成品の仕入れや、使い切らなかった原材料は対象になりません。
7. 借料
補助事業に必要な機器・設備のリースやレンタル料、イベント会場の借料などが対象です。
8. 委託・外注費
自社で実施できない店舗改装、バリアフリー工事、作業動線改善、専門家への相談などが対象です。建物の増築や不動産取得に当たる工事、単なる店舗移転、営業代行、内訳が不明瞭な費用は対象外です。
補助上限を最大250万円にする方法
基本は上限50万円・補助率2/3
通常枠だけを利用する場合、補助対象経費75万円に対して補助額は最大50万円、自己負担は25万円となるイメージです。補助金は原則後払いのため、いったん全額を支払える資金計画も必要です。
インボイス特例:50万円上乗せ
補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受け、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者は、補助上限が50万円上乗せされ、最大100万円になります。
過去に持続化補助金のインボイス枠・インボイス特例を利用した事業者は対象外です。特例要件を満たせない場合は、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されないため、安易な選択は禁物です。
賃金引上げ特例:150万円上乗せ
補助事業実施期限の2028年3月31日を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる場合、補助上限が150万円上乗せされ、最大200万円になります。
賃金台帳や雇用条件書類を整備し、設定した目標値を実際に達成する必要があります。未達の場合は補助金全体が交付されません。直近1期または直近1年間の課税所得がゼロ以下の赤字事業者は、補助率が2/3から3/4へ引き上げられ、赤字賃上げ加点も自動適用されます。
両方の特例を使う:最大250万円
インボイス特例の50万円と賃金引上げ特例の150万円を併用できれば、通常枠50万円と合わせて最大250万円です。ただし、両方の要件をすべて満たさなければ補助金全体が交付対象外になるため、登録状況、給与計画、必要書類を申請前に確認しましょう。
「加点」は金額ではなく採択審査に効く
加点は、重点政策加点から1種類、政策加点から1種類の合計2種類まで選択できます。どちらかの区分で2種類以上を選ぶと、加点審査の対象になりません。
重点政策加点
- 赤字賃上げ加点
- 事業環境変化加点
- 東日本大震災加点
- くるみん・えるぼし加点
- 健康経営優良法人加点
原材料、燃料、LPガス価格、米国の相互関税などの影響を具体的に説明できる事業者は「事業環境変化加点」を検討できます。赤字事業者が賃金引上げ特例を選ぶ場合は、赤字賃上げ加点が自動適用されます。
政策加点
- 賃金引上げ加点(1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増加)
- 地方創生型加点(地域資源型・地域コミュニティ型)
- 経営力向上計画加点
- 事業承継加点
- 過疎地域加点
- 一般事業主行動計画策定加点
- 後継者支援加点
- 小規模事業者卒業加点
- 事業継続力強化計画策定加点
- 令和6年能登半島地震等に伴う加点
- 地域別最低賃金引上げ加点
加点は「当てはまりそう」というだけでは認められません。認定書、賃金台帳、事業承継診断票など、加点ごとの証拠書類と期限があります。取得に時間がかかる認定もあるため、早めに確認することが重要です。
採択されやすい計画にする5つのポイント
1. 自社の強み・弱みを数字と事実で整理する
売上構成、客単価、来店数、リピート率、商圏、競合などを使い、「何が課題なのか」を客観的に示します。
2. 顧客と市場を具体的にする
「幅広い顧客」ではなく、年齢、地域、購入目的、抱える不便などを絞り、新しい商品・売り方がなぜ選ばれるのかを説明します。
3. 売上高と売上総利益の増加根拠を示す
第20回では、事業終了後おおむね1年以内に売上につながる見込みが必要です。新規顧客数×客単価、商談件数×成約率など、実現可能な計算で効果を示しましょう。
4. 経費と成果を一対一で結び付ける
何を買うかではなく、その経費で何を実施し、どの顧客へ届き、どの成果を生むのかを説明します。
5. デジタル活用を計画に組み込む
審査ではデジタル技術の有効活用も確認されます。EC、予約、顧客管理、データ分析、オンライン広告などを、販路開拓の成果と結び付けて記載します。
第20回の申請スケジュール
- 申請受付開始:2026年11月5日(木)
- 事業支援計画書(様式4)発行依頼の締切:2026年12月4日(金)
- 申請受付締切:2026年12月15日(火)17:00
- 採択発表:2027年3月頃予定
- 補助事業実施期限:2028年3月31日(金)
申請は電子申請のみで、GビズIDプライムが必要です。また、地域の商工会・商工会議所から事業支援計画書(様式4)の発行を受けなければ申請できません。様式4の締切後は、いかなる理由でも発行を依頼できないため、12月4日を実質的な締切と考えて準備しましょう。
よくある質問
ホームページ制作だけで申請できますか?
できません。ウェブサイト関連費だけでの申請は不可で、補助金交付申請額も30万円が上限です。ほかの対象経費と組み合わせる必要があります。
パソコンやスマートフォンは対象ですか?
原則対象外です。パソコン、タブレット、スマートフォン、一般事務用プリンターなどは汎用性が高く、補助事業以外にも使えるため対象外とされています。
採択されたらすぐ発注できますか?
できません。採択後に見積書等を提出し、交付決定通知書に記載された交付決定日以降に発注・契約・支払いを始めます。
加点を取れば必ず採択されますか?
いいえ。加点は総合審査の一部です。経営計画や補助事業計画そのものが具体的で、売上・売上総利益の増加につながることが最も重要です。
まとめ:まずは経費ではなく「販路開拓の計画」から
第20回の小規模事業者持続化補助金は、チラシ、広告、ECサイト、展示会、新商品開発、店舗改装など、販路開拓に幅広く活用できます。通常の上限は50万円ですが、インボイス特例と賃金引上げ特例の両方を満たせば最大250万円になります。
ただし、特例は未達時のリスクがあり、加点は補助額を増やすものではありません。まず自社の課題、狙う顧客、売上・利益の目標を整理し、その計画に本当に必要な経費と、無理なく達成できる特例・加点を選びましょう。
自社の取組が対象になるか、どの特例・加点を選ぶべきか迷う方は、Xecoへお気軽にご相談ください。
公式参考情報
※本記事は2026年8月2日時点の公式情報をもとに一般向けに整理したものです。公募要領や予定は改定される場合があります。申請時には必ず最新版の公募要領と事務局の案内をご確認ください。

