2026年の三大補助金から自社に合う制度を選ぶ中小企業経営者のイメージ

【2026年版】三大補助金の違いとは?統合後の選び方を比較【基礎講座#02】

補助金・助成金 基礎講座 #02

「ものづくり補助金がなくなったの?」「三大補助金が全部ひとつになった?」――2026年の制度改正を受けて、このような疑問を持つ事業者の方が増えています。

結論からいうと、三大補助金のすべてが統合されたわけではありません。2026年5月で従来の「ものづくり補助金」が終了し、「中小企業新事業進出補助金」と統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として再編されました。一方、旧IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、小規模事業者持続化補助金は引き続き別制度として公募されています。

この記事では、現在の代表的な3制度を「三大補助金」として、目的・対象経費・補助額・選び方を比較します。なお、「三大補助金」は理解しやすくするための通称であり、国が定めた正式な分類ではありません。

2026年、何が統合されたのか

今回統合されたのは、次の2制度です。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
  • 中小企業新事業進出補助金

この2つが、新しい「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になりました。新制度には「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠があり、革新的な開発、新市場への進出、海外展開をそれぞれ支援します。

ものづくり補助金と新事業進出補助金が新制度に統合された流れ
ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合され、革新的な開発・新市場進出・海外展開を支援する新制度になりました。

デジタル化・AI導入補助金と小規模事業者持続化補助金は、この統合には含まれません。つまり、制度名だけでなく、「何を買うか」より「何を実現したいか」から選ぶことがこれまで以上に重要です。

2026年版・三大補助金の違いを一覧比較

比較項目新事業進出・ものづくり商業サービス補助金デジタル化・AI導入補助金小規模事業者持続化補助金
主な目的新製品・新サービス、新市場進出、海外展開ITツール・クラウド・AIによる業務効率化やDX小規模事業者の販路開拓と生産性向上
向いている取組機械設備、システム構築、建物、開発などを伴う事業変革登録ソフトウェア、クラウド、導入支援・研修広告、ウェブサイト、展示会、店舗改装、新商品開発など
主な対象中小企業・小規模事業者等中小企業・小規模事業者等小規模事業者等
補助上限最大9,000万円(枠・従業員数・特例による)通常枠は最大450万円通常枠は50万円、特例込み最大250万円
補助率1/2~2/3原則1/2、一部2/3原則2/3、一部3/4
ひとことで新しい事業を本格的に立ち上げる登録ITツールで業務をデジタル化する小さく始める販路開拓・店舗改善

※金額や補助率は、申請枠・企業規模・賃上げ等の条件によって変わります。必ず申請時点の公募要領をご確認ください。

2026年の三大補助金を新事業・デジタル化・販路開拓の目的別に比較した図
左から、新製品・新市場への投資、IT・AIによる業務改善、小規模事業者の販路開拓をイメージした比較図です。

1. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

新制度は、単なる設備購入ではなく、設備やシステムを使ってどのような新しい価値を生み、売上と付加価値を伸ばすのかが問われる補助金です。

革新的新製品・サービス枠

革新的な新製品・新サービスの開発を支援する枠です。機械装置・システム構築費が必須で、補助額は100万円から。上限は従業員数と賃上げ特例により最大3,500万円、補助率は中小企業が原則1/2、小規模事業者等が2/3です。

新事業進出枠

自社にとって新しい製品・サービスを、新しい市場へ展開する取組を支援します。「日本初」である必要はありませんが、既存事業の延長ではなく、新たな事業の柱をつくる計画が必要です。補助額は750万円から、上限は最大9,000万円。補助率は原則1/2です。

グローバル枠

新たな海外市場への進出に向け、国内の生産・提供体制を強化する取組が対象です。補助額は750万円から最大9,000万円、補助率は2/3。海外旅費や通訳・翻訳費を計上できるのはこの枠です。

いずれの枠も、3~5年の事業計画、付加価値額の成長、賃金の増加、事業場内最低賃金などの要件があります。未達の場合に補助金の返還が必要となる要件もあるため、申請時点だけでなく、事業終了後まで実行できる計画かを確認しましょう。

2. デジタル化・AI導入補助金

旧「IT導入補助金」は2026年からデジタル化・AI導入補助金へ名称が変わりました。会計、受発注、決済、顧客管理、在庫管理、生成AIを含む業務ソフトなど、登録されたITツールの導入を支援します。

通常枠では、1プロセス以上を改善する場合は5万円以上150万円未満、4プロセス以上では150万円以上450万円以下。補助率は原則1/2で、一定の賃金要件等を満たす場合は2/3となるケースがあります。ソフトウェア、クラウド利用料(最大2年分)、導入設定、操作研修、保守サポートなどが対象です。

注意点は、好きなソフトや自社開発費が何でも対象になるわけではないことです。事務局に登録された「IT導入支援事業者」と相談し、登録済みのITツールを選んで申請します。

3. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が自ら経営計画を作り、販路開拓や生産性向上に取り組むための補助金です。通常枠の対象は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では常時使用する従業員5人以下、製造業その他では20人以下が目安です。

通常枠の補助上限は50万円で、インボイス特例や賃金引上げ特例を組み合わせると最大250万円。補助率は原則2/3で、赤字事業者が賃金引上げ特例を利用する場合は3/4です。

広報費、ウェブサイト関連費、展示会出展費、店舗改装、機械装置費、新商品開発費、委託・外注費など、販路開拓に幅広く使えます。ただし、申請には地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要です。発行依頼の締切は申請締切より早いため、直前準備では間に合わないことがあります。

目的別:自社に合う補助金の選び方

新しい製品や新市場に大きく投資したい

機械設備、システム、建物などを伴い、新しい製品・サービスや市場へ進出するなら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を検討します。投資額が大きい分、事業計画と賃上げ計画の実現性が重要です。

会計・販売・顧客管理をデジタル化したい

登録されたソフトウェアやクラウドサービスを導入し、定型業務を効率化するなら、デジタル化・AI導入補助金が候補です。導入したいツールが登録されているか、対応するIT導入支援事業者がいるかを最初に確認します。

広告、ウェブサイト、店舗改装で販路を広げたい

小規模事業者がチラシ、広告、ECサイト、展示会、店舗改装などに取り組むなら、持続化補助金が使いやすい制度です。商工会・商工会議所への早めの相談がポイントです。

統合後に間違えやすい4つのポイント

1. 「機械を買いたい」だけでは制度を選べない

同じ機械でも、新製品の開発に使うのか、新市場へ進出するために使うのか、販路開拓を効率化するのかで候補が変わります。購入物からではなく、経営課題と事業目的から制度を選びましょう。

2. 賃上げ要件を申請時だけの数字で考えない

新しい統合補助金では、給与支給総額や事業場内最低賃金などの要件があり、未達時に返還が生じる場合があります。採用計画、資金繰り、数年後の利益まで含めて検討が必要です。

3. 交付決定前に発注・契約・支払いをしない

多くの補助金では、交付決定前の発注や契約、支払いは補助対象外です。「採択されたからすぐ購入」でも早すぎることがあります。必ず各制度の事業開始可能日を確認してください。

4. 制度ごとの申請パートナーと準備期限を見落とさない

デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者との共同申請、持続化補助金は商工会・商工会議所による様式4の発行が必要です。締切日だけを見て準備を始めると間に合わない場合があります。

2026年8月2日時点の主な申請スケジュール

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回):申請受付開始 2026年9月30日、締切 2026年10月30日18時
  • デジタル化・AI導入補助金(通常枠・第4次):締切 2026年8月25日17時、交付決定予定 2026年10月7日
  • 小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠・第20回):申請受付開始 2026年11月5日、様式4発行依頼締切 2026年12月4日、申請締切 2026年12月15日17時

公募日程や要件は更新される場合があります。申請する際は、必ず最新の公式サイトと公募要領を確認してください。

よくある質問

ものづくり補助金はもう申請できないのですか?

従来の名称での公募は2026年5月で終了し、新事業進出補助金と統合されました。今後は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の各枠から、取組内容に合うものを選びます。

3つの補助金を同時に使えますか?

対象となる事業や経費が明確に別であれば、複数制度を利用できる場合があります。ただし、同じ経費に国の補助金を重ねて受けることは原則できません。併用可否は各公募要領と事務局で確認してください。

採択されれば、申請額が必ずもらえますか?

いいえ。採択後に交付申請・交付決定を経て事業を実施し、実績報告と確定検査を受けます。対象外経費や証拠書類の不足があれば、受給額が申請額を下回ることがあります。

まとめ:制度名ではなく「実現したいこと」で選ぶ

2026年の大きな変更は、ものづくり補助金と新事業進出補助金が、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金へ統合されたことです。デジタル化・AI導入補助金、持続化補助金は、それぞれ別の目的を持つ制度として続いています。

  • 新製品・新市場・海外展開への本格投資:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
  • ITツールやクラウドによる業務改善:デジタル化・AI導入補助金
  • 小規模事業者の販路開拓・店舗改善:小規模事業者持続化補助金

補助金ありきで計画を作るのではなく、自社の課題、投資目的、実行体制、数年後の収益と賃金まで整理し、その計画に合う制度を選ぶことが大切です。

自社の取組にどの制度が合うか迷う方は、Xecoへお気軽にご相談ください。

公式参考情報

※本記事は2026年8月2日時点の公式情報をもとに、制度の概要を一般向けに整理したものです。個別の適用可否を保証するものではありません。申請時には最新の公募要領と事務局の案内をご確認ください。

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