まず確認したいこと
対象になるかは「AIかどうか」だけでは決まりません。事務局に登録されたITツールであること、対象業務と費用区分が合っていることが重要です。
デジタル化・AI導入補助金では、生成AIを含むITツールが対象になり得ます。ただし「AIサービスの請求書なら全部対象」という制度ではありません。対象経費は、登録されたソフトウェアを中心に、必要なオプションや導入支援を組み合わせる仕組みです。
対象の中心は登録済みソフトウェア
申請できるのは、IT導入支援事業者が事務局へ登録し、承認されたITツールです。ソフトウェアが顧客対応・販売支援、在庫・物流、会計・財務、総務・人事などの業務プロセスを持つことが基本になります。生成AI機能やAI予測機能が搭載されていても、業務プロセスとの結び付きが弱い汎用ツールだけでは申請しにくい点に注意してください。
対象になり得る費用
| 費用 | 通常枠での考え方 |
|---|---|
| ソフトウェア購入費 | 登録済みITツールであれば中心的な対象 |
| クラウド利用料 | 最大2年分まで対象になり得る |
| 機能拡張・データ連携 | 主ソフトに付随し、登録されたオプションなら対象候補 |
| 導入コンサルティング | 交付決定後に行う導入設計・活用設計等が対象候補 |
| 初期設定・マニュアル・研修 | 登録された役務で、導入に必要な範囲が対象候補 |
| 保守サポート | 登録内容と期間の要件を満たすものが対象候補 |
AI導入で対象を判断しやすい例
- 問い合わせ対応AI:顧客対応履歴と連携し、回答作成時間や一次対応件数を改善する
- 需要予測AI:販売・在庫データを分析し、欠品や過剰在庫を減らす
- 画像解析AI:製造現場の検査記録と結び付き、検品時間や見逃しを減らす
- 議事録・文書作成AI:単なる文章生成ではなく、社内の特定業務プロセスと一体で導入する
ポイントは、AIの新しさではなく、導入前後の業務が具体的に変わることです。「誰が・何に・何時間かけているか」を数値化すると、ツール選定と計画づくりが進みやすくなります。
パソコンやタブレットは通常枠では原則対象外
通常枠の対象はソフトウェア、クラウド、オプション、役務が中心です。PCやタブレットを導入したい場合は、インボイス枠(インボイス対応類型)の要件を満たすソフトウェアと併せて申請する必要があります。この場合もハード単独は不可で、PC・タブレット等は最大10万円、レジ・券売機等は最大20万円が目安です。
対象外になりやすい進め方
- 交付決定前に契約・発注・支払いを済ませる
- 事務局に登録されていないツールを選ぶ
- 補助対象期間外の利用料を含める
- 補助対象と対象外の費用を見積書で分けていない
- 単なるホームページ制作や広告費をAI導入費として扱う
見積りを取る前に、公式のITツール登録の考え方とITツール検索を確認しましょう。経費区分の基本は補助対象経費の実務解説でも整理しています。
次回は、GビズID、SECURITY ACTION、必要書類など申請前の準備を順番に解説します。
見積書は「一式」にしない
補助対象経費を確認しやすくするため、見積りはソフトウェア本体、クラウド利用期間、初期設定、データ移行、研修、保守などを分けます。独自開発や追加作業がある場合も、既製ツールの登録価格に含まれる範囲と、個別見積りの対象外部分を区別します。申請時と実際の契約・請求・振込の内容が一致しないと、実績報告で確認に時間がかかります。
導入前に計算したい費用対効果
補助金額だけで判断せず、2年間の総費用と効果を比較します。たとえば月20万円のAIツールで、3人分の作業を月合計60時間削減できるなら、削減時間を人件費換算し、保守費や社内教育の時間も含めて判断します。補助対象期間終了後も利用料は続くため、3年目以降の価格確認も欠かせません。
契約前の確認項目
- 公式ITツール番号と登録された製品名
- 対象となる利用期間とアカウント数
- 初期設定・研修・保守の具体的な作業内容
- 解約、更新、価格改定の条件
- データの保存場所、権限管理、退会時の返却方法
Q.自社専用のAI開発費は対象ですか?
登録されたITツールの導入が基本です。個別開発や大幅なカスタマイズは、登録内容や経費区分によって対象外となることがあるため、見積り前に支援事業者へ確認しましょう。
AI導入・販売支援 実務シリーズ
※最終的な対象可否は登録内容と最新の公募要領で決まります。

